「新年にあたって」~モルダウによせた想い

 あけまして おめでとう ございます

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今年は、藤沢育成会100年の中間点。心して新たなスタートを切りたい。これまで多くの方々のご支援、ご鞭撻を頂戴した。今後もよろしくお願いします。昨年、法人設立30周年を祝う3事業を行った。"インクルサマーフェス"では利用者、ご家族の笑顔がはじけ、"記念講演会"では半世紀前には夢でさえ見ることが出来なかった利用者発言が檀上から聞けた。式典では多くの皆様にお祝いしていただくと共に職員一同の結束を新たにした。それらを交響詩「わが祖国第二楽章モルダウ」のピアノ演奏で閉幕した。

 モルダウはチェコを流れる大河。源流から大河に育つまでを表現したそうだ。作曲者スメタナは聴覚障害者だった。障害を乗り越え「交響詩わが祖国」を作曲する強い想いは、当時の母国が置かれた状況にあった。長くオーストリアの支配下で、母国語も判らなくなるほどドイツ圏の文化が政治事情と共に支配していた。国民は疲弊し、受け入れがたい苦渋の中にいた。そんな祖国を憂い、国民へのメッセージを込めた曲だ。だからモルダウには国民の愛唱歌のメロディーが挿入されている。なる川=モルダウを愛し、母国を誇りに思う象徴となった。故に著名な「プラハの春・音楽祭」のオープニングと決まっている。だからチェコの第二の国歌とも言われている。

 支配された社会は、障害者が人として見られなかった服従の社会と似ている。聴覚障害者であることは生きづらさが充満した生活の中にあると判る。小さな流れから始まるモルダウは、藤沢育成会がとにかく活動を始めた頃の姿。大河となっていく姿は、育成会がヒーロー、ヒロインがいないまま成長した姿。悠々と流れているようだが、岩にぶつかり、関止めを食らいながら蛇行して大海を目指す姿は、藤沢育成会がさらなる一歩を探る姿。そして目指す大海、それは「インクルージョン藤沢」だと誰もが知っている。

 社会福祉を学び始めた頃に読んだ故・高島巌氏の書いた『いのちを愛する(川島書店)』に一編の詩がある。そこに"何故なら、彼らの心は、あなたが訪ねてみることも出来ない、夢の中でさえ見ることも出来ない明日の家に住んでいるからだ。(P107)"と。藤沢育成会が目指す大海は、私には"夢の中でさえ見ることも出来ない家"だが、大海を目指す流れのひとしずくにはなれる。蛇行し、大岩につかまり右往左往するだろう。でも、失敗しても取り戻せる。1回の失敗は知恵を作る糧。だから次を目指す勇気が出る。

初めてこの仕事に就こうと考えた時から半世紀。その頃、施設外で障害児が暮らすことなど夢の夢。10年ほどたちそれなりの経験をし"在宅担当"となった時、右往左往し当事者から学んだ。そこから生まれたのが地域サービス。でも今、この国、この地域にふさわしいサービスを創れる環境が整いつつある。大海はまだ遠いけど見えるところにある...。こうしたいと願う社会を創るには、指示を待つのではなく新たな発想を生かした展開を始めなければ出来ない。無理と承知で夢の中でも見ることの出来ない世界をみたい。だから努力を惜しまないと新年にあたってモルダウの調べの中で想う。(2019.1

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