日記

コミュニケーションツール

 "恋文"と言う言葉があった。それが"ラブレター"になった。電話が各家庭に普及した頃、郵便物が減少し"ラブコール"が一般化した。電話は恋人に伝えるツールとなったが、大きな障壁があった。相手の自宅に電話すれば親が出る可能性が高く、異性が電話すればばれてしまう。その後"ポケベル"が出た。短文しか書けなかったので受信すると公衆電話に走った。それでも忙しい人や個人経営者には便利だった。また恋人たちや夫婦がポケベルで連絡を取り合った。その頃に井上陽水の『移動電話』がヒットした。当時はカバン型で重たい機械を持ち歩かなければならなかった。それでも利便性は増したが、恋人たちには高根の花。次第に"携帯電話"となり"ケータイ"に。ケータイはあっという間に過ぎて"スマホ"になった。スマホはスマートホン。スマートは"賢い"。ツールが変わればコミュニケーションも変わる。メールやSNSは感情が伴いにくく絵文字等を駆使するが、微妙なニュアンスや心の内を表現するのは難しく、ノンバーバルでなければ表情が出ない。不思議と言語表現より心の通い合いや豊かな感情を表す。言葉を発信しなくても通じ合うのは、多くが恋人や親子など親密な関係の人である。結局、ツールだけではなく心の機微がコミュニケーションを構成する大きな要素だと判る。

孫を見ていると親のスマホを内緒で手にした時、ニヤッとしながら動かす手はすでにスマホを使いこなしているのかと見まごうほどだ。我が家の固定電話に時折何も話さないが生活音が聞こえる。番号で間違いなく孫のしわざと判る。会話ができれば話し出すだろうから1歳になったばかりの孫。だからスマホで電話機能を使うのも時間の問題だろう。しかし、その前に子ども用のアプリでゲームやクイズなどを見つけ、もっと早く使うのか...。考えてみれば、知的障害児の発達検査で"3歳レベルの理解力です"などと心理専門職から聞く。そうだとしたら、彼らもコミュニケーションツールとしてスマホを使えないか。操作は簡単だから肢体不自由があっても操作に伴う動作に支障はなさそう。そういえば、某企業から「みらい社」にペーパーレス化のためPDF化する仕事が来た。数か月たちこの仕事が定着しだしたことは喜ばしいと思っていたら、法人も同様にペーパレス化でみらい社に業務委託した。大変興味深い話しだ。どこまで作業が可能かは今後の努力次第だが、確実に利用者にもPCやスマホが食い込んできた。このような積み重ねの先は、もっと一般的で日常的になるだろう。そこからコミュニケーションが難しい人たちがこんなツールで表現力アップが出来たらありがたい。"自己決定支援"を徹底するにはこのような道具の進化は歓迎したい。だが、興味の世界にこだわる傾向のある障害特性や、時間や場面で区切ることが苦手な人たちに用意すべきものが同時に発生すると承知したい。すでに"スマホ中毒"や"スマホ依存症"などと言われているのだから...。(2019‐11②)

この記事を書いた人

理事長
石川 修

1974年神奈川県庁入庁が福祉人生のスタート!35年間を勤めあげて定年退職を迎えた。その後2016年度までは鎌倉女子大学の教授(愛称「じいじ」)として社会福祉を教え、福祉職の卵たちを育てた。読書、音楽をこよなく愛する熱血リーダー。