日記

「5年ぶり...(対人援助職とは)」

 公務員卒業後、大学教員を勤めた。おかげさまで今も非常勤講師や職員研修の役割をいただく。そんな時に思い出すのがゼミでのやりとり。初日を迎える時、少し緊張気味の学生たちは戸惑いつつ応じていた。議論の様子などみじんも感じないが、半年ほどで個性的な発言が見え"何か"を持ち帰り始めた。ある時、終了後も座り込む学生がいた。体調を気遣い"どうした?"と訊ねると"考えすぎて疲れちゃった..."とぐったり。"答え"ではなく友人の発表に"応え"る時間になったと思った。卒業生からの職員研修講師依頼に応じるとゼミ形式を希望された。教員との関係性や積み重ねがないと難しいと承知の上でやったが、やっぱり思ったほどの成果はなかった。2年間、密度の高い関係性がある卒業生の報告は自分を検証する思いだ。

 最近、ゼミ卒業生からお誘いがあった。若い女性の中におじいちゃんが1人、ちょっと違和感。10人のうち3人が結婚、只今進行中も。ジェンダーの課題なども話すが、働き始めの若者の悩みは職場内人間関係。対人援助職が多く職場内人間関係が重要。どうも"先生"とは"教えたがり"。指導担当などと言われると"教え込まなきゃ"と早く1人前にさせたくて必死。これが善意に基づくから受け手は重苦しい。はたから見れば判っても当事者同士は...。一方で、1年目と5、10年目職員が同じような仕事で判りにくいのが対人援助職。入所施設の夜勤は1年目も10年目も業務内容は同じ。学校教員も教室での業務は同じ。違いは"質"、"役割"が増えるなどでしかない。だから同じ仕事をさせないとお鉢が回る...。よって指導がきつい。悪質なのは自分はそのままでモノ言えぬ新人に仕事を押し付ける場合。出来る、出来ないではなくさせようとする。それは指導でもチャレンジでもない。また、見て見ない振りをし続ける先輩、上司はもっと問題。何故ならそれは職員の質の向上を目指すOJTが崩壊し、組織の先が見込めないから。中に対人援助職以外で働く人がいた。彼女は上司の様子に気遣う話をした。常に同じフロアで指示が徹底するため応じなければ担当業務が終わらない。しかも誰もやってくれない。以前、対人援助の職業的特徴を①自己完結しにくい職場、②情報伝達しにくい職場、③責任回避しやすい職場、④組織を意識しにくい職場と整理したことを思い出した。

 対人援助職場では特に職員の成長がないと組織は崩壊の道をたどる。人が、職員が育つ...ために"考える習慣"が欲しい。会議では発言を聞き考え、発言して考える。歩いて"足"が、読んで"目"が、書けば"手"が考える。不思議だが就寝中に思いつくことがある。オンとオフが大事なのは承知だが、考えなくなれば成長しない。卒業生たちが寝ても覚めても仕事を考えているとは思わないが、それほど重く頭にこびりつく...のは寝ても覚めても...だ。1年、1年の積み重ねがいつのまにか大人にさせている様子に、あの時伝えたことが花開き始める姿が見え感謝!人を支援する仕事の答えは"未来"にある。それが組織の"未来"を創る! (2020.3)

この記事を書いた人

理事長似顔絵
理事長
石川 修

1974年神奈川県庁入庁が福祉人生のスタート!35年間を勤めあげて定年退職を迎えた。その後2016年度までは鎌倉女子大学の教授(愛称「じいじ」)として社会福祉を教え、福祉職の卵たちを育てた。読書、音楽をこよなく愛する熱血リーダー。