「システムと個人」(湘南セシリア 妹尾 貢)

先日、ひょんなことから、大人になってからは初めて、3日ほど入院することになりました。もう、すっかり良くなったので、ご心配にはおよびませんが、その時の体験から考えたことを、今回は書いてみたいと思います。

 

 入院治療か外来治療にするかは、医者のアドバイスをもとに、自分で決めました。入院の場合、3日~7日間だが、期間は短縮も延長もあり得るとのことでした。入院二日目に精密な検査をして、異常がないことが確認されました。その段階で、翌日には退院したい旨、いろいろな人に伝えました。

いろいろな人というのは、日中担当の看護師さんと、夜間の看護師さんとが交代で来るので、2泊もいると、5~6人位が担当してくれることになります。それらの人が来るたびに、もう退院したい、と伝えると、みな同様に「先生に伝えておきますね」というのですが、その返事は全くありません。

 

早朝に、回診ということで、ドクターに合う機会が日に1度あるのですが、医師が5人位で回ってきて、患者一人あたり30秒くらいでどんどん回っていくので、ゆっくり話す余裕はありません。それでも、もう退院したい旨をなんとか伝えたところ、相談しておくね、ということでも、ここでも判断は先延ばしになりました。

自分の都合で、全体の和を乱すことになるのではないか、自分のしていることは我がままではないのか、そんな葛藤が生まれました。

 

 そして、そのまま待っていても何も起こらなかったので、3日目の日中の担当の看護師さんに、今、退院したい旨伝えました。すると、いまは退院できない、担当医に相談するから、もう少し待ってくれ、ということでした。しばらくすると、数名の医師が様子を見に来て診察してくれて、数日後に外来で通院するように、と言われて、退院許可がでました。 

結局、ちょっと強引に意思を通すような感じになってしまい、申し訳ない気持ちになりましたが、午後には退院する事ができました。退院することが決まってからの手続きはとても速かったです。

 

 医師の診察と治療は適切なものだったと感じていますし、病院の対応も快適で素晴らしかったです。他と比べても、これ以上ということは無いように思います。しっかりとした医療を受けられる機関として、今後も利用していきたいと考えています。

 

 対応の良し悪しがどう、ということではなく、医療を専門的に提供するシステムがしっかりしているからこと、個別のスタッフが勝手な判断をしないことが徹底されていて、非常によく管理されていると感じました。

 

 そのしっかり管理されているシステムと、生活者としての個人の想いが、時に矛盾することがあるのだと、考えました。

我々の仕事は、生活者としての個人を支えることを専門業務としています。全体がしっかりと管理されていることと、個人の想いや行動を支えることが矛盾しないよう、自らを戒める体験になりました。私が勤務しているのは、病院と同じように、24時間、スタッフが交代しながら全体を支えている入所施設です。職員が交代するごとに、利用者は「あの話はどうなったのだろう」と心配しているのかもしれません。そして、「自分の言っていることは我がままなことなのかもしれない。そのことで色々な人の手を煩わせるのは申し訳ない」と感じているかもしれません。そのことを、我々スタッフは、忘れてはならない、と思いました。

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写真は、西伊豆の浮島海岸の海の景色です。写真では、うまく伝わらないかもしれませんが、エメラルドグリーンのグラデーションが物凄い海岸です。映画「真夏の方程式」の撮影でも使われたとのこと。

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