神奈川県知的障害福祉団体連合会宮城県被災施設調査報告

社会福祉法人藤沢育成会・湘南セシリアの施設長、河原雄一は神奈川県知的障害施設団体連合会の副会長を務めていますが、同連合会から派遣されて、被災地への調査を行ってきました。その報告書をここに転載いたします。

4月2・3・4日に神奈川県の知的障害福祉団体連合会で被災地への職員派遣に向けた事前調査のため、宮城県に行きました。
行程は次のとおりです。

○4月1日(金):夜間仙台市内に移動。
○4月2日(土)
・仙台市市内の仙台つどいの家コペル(生活介護事業所:旧通所更生施設)
・石巻市ひたがみ園(入所更生)
・第二ひたがみ園(通所更生)。船形コロニー。
○4月3日(日)
・東松島市の共生園(入所更生施設)と名取市のるぱーと(生活介護事業所:旧通所更生施設)。
派遣依頼が正式に決まった、石巻市の第二ひたがみ園。
○4月4日(月)
・宮城県知的障害者福祉協会事務局と打ち合わせ。
 午後神奈川に向かう。(被災地の状況)

1ひたがみ園中庭.JPG

(1)主な被災施設の状況

①宮城県石巻市社会福祉法人石巻祥心会
・現在「ひたかみ園」は入所施設を新築予定中に被災。
震災当日、自衛隊が津波の被害にあった被災者を同園の中庭に救助。
そのため、被災後は、市民の避難所と障害のある人の福避難所となる。
工事着工前の震災だったため、「ひたかみ園」には、石巻赤十字病院から出された精神の方、地域から避難してきた精神の方合わせて80名の人避難している。「ひたかみ園」「仮設のひたかみ園」「第2ひたかみ園」3施設に避難者がいる。


2神奈川事前調査隊とひたがみ園スタッフ.JPG・「仮設のひたかみ園」は現入所者が避難。
・「第2ひたかみ園」は通所者とその家族50~60名の方が避難。
・3月11日の震災後から、法人職員が泊り込みで利用者や住民の避難者の対応に当たっているため、スタッフの疲労度が高い。法人理事1名死去・1名行方不明。GH世話人行方不明。第二ひたがみ園利用者1名、避難途中、重積発作で死去。




3るぱーと1.JPGのサムネール画像

②宮城県名取市社会福祉法人みのり会「るぱーと」
【法人事業所概要】
●生活介護事業所 るばーと(定員35名) 
●地域活動支援センター らるご(日々25名) ●相談支援事業窓
●日中一時支援 ゆらり(日々3名) 
*以上のるばーと施設壊滅状態
●就労継続支援事業 名取市みのり園(定員25名)......施設機能は残っている、緊急宿泊所として使用。(いたただいた資料より)

【職員、利用者状況】
・日中活動時間帯であったため、利用者、職員は施設の車両にて市民体育館に避難し被災者なし。
ご家族・職員の家の被災はあったとのこと。避難所生活もあり。
以前酒屋さんだったところを事務所にしている。5名の利用者のご家族が被災し亡くなり、
現在新設本部の2階にて避難生活を行っている。
るばーと職員が、支援している。
家族を失った利用者については、現在その兄弟や親せき等と連絡を取りつつあり、
今後の対応についてようやく相談が始まった段階。

・震災当日の避難により、職員の車17台は流された。
施設の車両も一部流されている。
日中活動の場として、みのり園近くの公共施設を2カ月(4月・5月)借り、
仮設るばーとを4月から始める。
6月からは移動しなければいけない。
4るぱーと仮本部.JPG ・6月以降の場のめどがついたとのことではあるが、トイレの改修工事が必要とのこと。
利用者が重度者(車椅子を利用している方もいる)が多く、
トイレは和式のため改修が必要。資金的に厳しい。
※トイレ改修費用が急務に必要

●施設機能が完全に失ったため、事務用品を始め日中支援に必要な備品や設備等が急務に必要。
※急務な備品
事務用品一式、利用者支援のために必要なもの(電話での聞き取り)
コピー機、パソコン、プリンター、プリンターインク、ラミネーター(A3対応)、
ラミネーターシート、裁断機(大型)、紙(模造紙、ボール紙、画用紙、上質紙)、マジック、
絵の具、セロハンテープ、セロハンテープ台、ケースファイル、ボールペン、鉛筆、
ファイル、A4トレー(自閉症の方への自立課題用→30個以上)
 セラピーマット等

(2)神奈川県知的障害福祉団体連合会の対応

○3月26日
・連合理事・総務委員会・四県市会長・副会長の災害対策会議を実施。災害支援チームを決定。
○職員派遣のための調査を決める。先見調査スタッフ:連合安藤会長・横須賀みなと舎飯野理事長・森下施設長・総務委員:湘南セシリア河原副会長。
○4月1日から4月4日、宮城県被災地事前調査実施。
○4月4日
・被災地調査の結果、石巻市の社会福祉法人石巻祥心会第二ひたがみ園から支援スタッフの要請がある。4月4日、現地調査隊と連合総務委員長と連絡をとり、県内事業所から、同法人への職員派遣要請を決定。各施設に職員派遣の要請を行う。
派遣要請内容は次のとおり
「日中活動支援中の震災、安全確保で自宅への送迎を中止したため、施設内に通所者30名が残り、24時間支援している。重複障害(寝たきりの方1名・痰の吸引1名)・行動障害(動き回る程度)。男女半々。利用者全体的に部屋に落ち着いていることが出きる。利用者の他に、自宅が被6第一次派遣隊第二ひたがみMT風景.JPG災した家族が6人避難している。在宅の障害者・石巻日赤病院からの重心対象者20名前後が今後避難してくる予定。3月11日の震災後から、法人職員が泊り込みで利用者や住民の避難者の対応に当たっているため、スタッフの疲労度が高い。そのため、人的支援を要請。」
○4月6日
・第二回連合災害支援チーム会議開催。派遣体制・派遣要項等詳細を確認する。
○4月8日
・災害支援チーム実務者会議開催。同日第一陣及び第二陣派遣職員事前説明会を実施。
○4月10日
・神奈川県職員派遣第一陣チーム神奈川県を出発
5第一次派遣隊.JPG○4月11日
・第二ひたがみ園に到着。支援を開始する。
○4月12日
・(社福)みのり会るぱーとに支援物資を届ける。
(2)社会福祉法人藤沢育成会の対応
①各事業所ごとに義援金・支援物資を集める
②4月7日、宮城県への派遣職員を決定。
③名取市の(社福)みのり会るぱーとへの物資の支援を決定。
④4月12日、同法人に支援物資を届ける。(米村理事長からパソコン。その他事務用品一式)

 

7育成会支援物資.JPG

神奈川県知的障害施設団体連合会では、派遣職員等の事前調査として、4月1日から4月4日に、宮城県仙台市周辺施設の状況調査を実施した。調査で被災地の状況について把握し、それに関し必要な今後の支援のあり方についてまとめた。日本知的障害者福祉協会の今後の被災地支援の参考資料としてご検討願いたい。

(1)被災地の状況について
○地震発生時から現在までの支援物資については、生活に必要な水・食料など生命にかかわる物資が主であった。仙台市や周辺の市部・山間部ではライフラインの復旧に伴い、徐々に物資が行きわたる状況にある。
○ただし、現在でも壊滅的な被災をしている、宮城県湾岸部では、これらの生活に関わる物資が必要であると思われる。
○ガソリンの供給は、都市部では、多少入手困難であるが、周辺のスタンドの供給が可能であり、今週から来週に掛けてはかなり改善されると思われる。ガソリンに関しては、状態が安定した施設が中心となり、復旧困難な施設に配送するなどの方法が有効である。
(舟形コロニーあたりが拠点となって配送するのが有効)
○深刻なのは、津波により壊滅的な被害を受けている施設である。これらの事業所は、施設が無くなったため、利用者支援や施設での機能が失われている。
また、通所の事業所でこうした状況にある場合は、職員の家族・利用者の家族が自宅を失った、また、利用者の親が無くなったため、日中活動を支えるほか、こうような状況の利用者の生活支援を行っている。(宮城県名取市るばーと。添付の写真を参照)
上記の状況から、これからは、次のような支援が早急に必要である。
(2)今後の支援のあり方について
①津波により壊滅的な被害を受けている施設は、仮設的な建物も含め、代替的な支援を実施できる建物・場所対策が早急に必要である。
②津波により、自宅が被災し、在宅生活が困難な障害者に生活の場の確保対策が早急に求められる。
③①・②の状況にある施設に対し、職員と利用者を支援する点から、派遣職員による人的な支援が必要である。
④支援物資は、生活支援的なものから、施設機能を再建するため、パソコン・ケースファイル等事務機器・生産活動等日中活動に必要な活動物資。送迎のための車両の支援物資が早急に求められる。
⑤津波により、被災した施設機能を回復させる支援として、義援金の一部から支援物資を購入し、全壊の施設を、優先した、ピンポイントの支援が求められる。
⑥津波により全壊状況の施設で、社会福祉医療機構からの借入金がある場合は、これに関する返済金の対策が必要である。
⑦利用者を避難させたため、施設に残した職員の自動車を津波等で失ったケースもあり、これらに対する保障が必要である。
⑧被災した施設は、3月分の請求事務も行えず、資金的に困窮することが予想される。そのための早急な対策が必要である。
⑨資金的な支援については、義援金の他、特別対策事業の有効活用を求めたい。
以上ご検討願います。

2011年4月4日


神奈川県知的障害施設団体連合会 会長 安藤浩巳
神奈川県知的障害者福祉協会企画政策副委員長・監事 飯野雄彦
同県理事・日中活動支援部会通所更生分科会座長 森下浩明
同県副会長・日本知的障害者福祉協会政策委員会副委員長 河原雄一


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