「第33回 『オバマ大統領広島訪問』」

 先月末のオバマ大統領の広島訪問は大変感銘深いものでした。 

 被害者である日本国民が概ね好意的に受け入れたことの是非はここでは問わないことにします。また、左右に振れた過激な発言は排除しましょう。

 

 個人的には、核兵器廃絶に向けて、広島、長崎への原爆投下の意味をどう捉えてオバマ大統領が演説をするのかとても関心がありました。

 そして、この大変魅力的だったオバマ大統領の17分間の演説を次の日に新聞で読んだ時に、「story」と「moral」という二つの言葉に強く感心をもちました。

 

story(物語)」と言う言葉は、後半以降に多く表れてきます。

 すなわち、「過去の過ちとは異なる物語を子どもたちに語ることができる。我々は同じ人間であると伝え、戦争を今よりも起きにくくし、残虐さが簡単には受け入れられなくなるような物語だ。」

 さらに、「我々はその物語を被爆者から学ぶ。」と続いていきます。

 そして、「私の国の物語はシンプルな言葉で始まる。すべての人は平等で、神によって生命や自由に加え、幸福を追求する譲歩不可能な権利を与えられている。この理想を実現することは・・・決して簡単なことではない。しかし、この物語を実現することは、努力に値する。それは努力して、世界中に広められるべき物語だ。」

 それを受けて、最後に出てくる物語は、「我々は、その物語を語るために広島に来る。」でした。

 「story=物語」という訳が適切かどうかを判断する力がありませんが、とにかくオバマ大統領は「story」という言葉を戦争による原爆の悲惨さを世界平和へ転換するための手段として使っているように感じました。

 

そしてもう一つのキーワード。「moral」。

道徳的とも道義的とも訳されていましたが、中段で、広島の記憶は、「moral imagination」を掻き立て、その同じ広島、長崎の記憶は核戦争の夜明けとしてではなく「moral awakening」として記憶されるであろうと結んでいます。

moral」に結びつけたこの二つの単語と文脈は大変面白く感じました。

 

 ご興味のある方は是非、オバマ大統領の演説を原文で読んでみてください。

 

以 上 

 

 

第33回写真.JPG

 

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