「第37回 新年度 」(湘南あおぞら 倉重達也)

学校が春休み期間中の、このなんとなく晴れやかな、そして気分のウキウキするような雰囲気は何といったらよいのでしょう。

 学校でも会社でも年度が変わるとなにかしら人間関係に変化がおこります。新しく学校や会社に入る人、進級する人、異動する人など、そして退職して第二の人生をむかえる人などなど。この変化はお正月とはまた違ったものです。

 期待と不安が交錯しますが、期待の方が大きい。人間というのは本来、楽天的なのかも知れません。

 

 新しい出会いは人をはっとさせます。そして、いつの間にか習慣になっていた固陋な考えが洗い流されます。

子どものころの家庭という狭い世界しか知らない時は、他の家庭も自分の家庭と同じものだと思っていました。それが、長じて友達の家でご飯をご馳走になったり、友達のご両親と話したりすると自分の両親とは違う考えをする人がいるのだなと驚きの念を感じます。多様性に出会う最初かもしれません。

学校を卒業して会社に入ると、初めは学校と会社の違いに戸惑います。そのうち会社生活に慣れてくると今度は、会社はどこにいっても同じだと錯覚してしまいます。しかし、会社もまた、その成り立ちによって随分と違ったものなのです。それは同じ会社の中でも部署が変わったり事業所が変わったりするとその違いがよくわかります。

 

この多様性を感じるということは家庭や、学校、会社、そして国や制度というものは絶対的なものではなく人間が営々と築き上げてきた努力の賜物だということ、そこに人間の足跡を見るということを意味しています。そしてそのことは、物事を良くすることも悪くすることも人間次第ということです。この当たり前のことを私たちは忘れがちですが、可能性や、自由というものはその認識があって初めて生まれてくるものだと思います。

 

 勇気とは古い衣を脱ぎ捨てることかも知れません。

 

第37回 写真 小塚会館の掛け軸.JPG

 

                        (写真) 小塚会館の掛け軸

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