日記

"齢"の重ね方

 音楽が好き、いや"音"が好きで波の音や小鳥のさえずる音をかけ椅子に身体をゆだねるのが至福の時。歩く時も、読書の時も、書く時もかけ続けるので、クラシック、ポピュラー...なんでも聞く。最近、歩く時の音源を変えた。発売の頃からずっとアイポットだったが、とうとう充電機能が悪くなり使いにくくなった。

それでも移動時の音源が欲しくてスマホにした。音源が変ると音楽が変り、これまで聞かなかったものも聞く。フォーク世代なので音域や音質が似ている小椋佳が好きだった。詩が評価されているそうだが、穏やかなメロディが好みだ。今も口ずさむが、最近さだまさしを良く聞くようになった。

 さだまさしは"精霊流し"で一世風靡し、"北の国から"や"秋桜"などのヒットを飛ばしたシンガーソングライター。なによりフォークソングにバイオリンを持ち込んだ人は他にいないだろう。ヒット曲以降は知らなかったが、その後も作り続けているようだ。

"償い"は死亡事故を起こした青年の贖罪、"風に立つライオン"はアフリカ医療に従事した医師の苦労や感情を描く。社会問題にも向き合い"僕たちは、戦争に負けた国に生まれたことを忘れてはいけない..."の歌詞も。さらに高齢故かパスワードが判らなくなってしまう"パスワードシンドローム"や、健康に気を使う姿を表す"豆腐が街にやってくる"など。関白宣言のパロディー"関白失脚"では"右に定期券、左に生ごみ..."。さらに"親父の一番長い日"では、娘を嫁に出す父親の心情を...。今年5月にアフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲さんの歌"存在理由"を最近リリースした。

同世代ゆえ、どれもそうだな...と。だから"ありがたくて、ありがたくて...("償い"の青年が被害者の奥さんから手紙を頂いた時の言葉)"。家族、社会、国家のこと。若い頃の恋愛もの、大人になって考えが変化したり、若い頃に夢見たことが現実では...だったり、老いる我が身を見つめるなど、人生そのものを感じる

 若い頃はメロディばかり聞こえたが、最近は歌詞が聞こえてくる自分の変化にも驚くが、歌詞を聞いて若い頃の"歌"も、年を重ねた"歌"も良く思える自分にも驚く。

さだまさしの歌に"無駄に年取ったわけでもないでしょうに..."と短気をいさめる歌詞がある。年を重ね先が短いと無意識に感じるのだろう...、年寄りは怒りっぽい。好々爺なんて言葉もあるが、まだまだその域には到達できず、短時間に結果を出したくなる。だから今しばらく好々爺は封印して現実を見つめ続けたい...。いや、やっぱり穏やかでいたい。

歌詞を時代順に並べると、さだまさしが年を重ねる姿がしっかりと見える。だから、これだけ長く歌を作り続けられるのか...と思う。"継続は力"と言うが、自らが齢を重ねていると自覚できているからこそ"継続"する力を持ち続けられる。そんな年のとり方が"良い年の取り方"だと考える"齢"になったようだ。まだまだ、修行中の身のたわごと。(2020.8)