日記

「初夢」

 昨年は「インクルージョンプラン(仮称)」の策定に忙しかった。準備は1年だが、以前からこれに繋がる作業を進めてきた。最初に着手したのは「研修体系の見直し」。役割に応じた業務推進の「等級別研修」と、支援や相談、制度の理解など障害福祉サービスにかかる「専門研修」を体系化し、誰もがふさわしい研修を受けられるようにした。単に知識の獲得ではなく、日常的に使える"道具"となることが課題。だから講義だけでなく、業務中に学びを深めるよう意識した。キーワードは"OJTOFFJT"

その中で課題となったのが"施設内虐待"。頻発したからではなく虐待を防ぐ手法を考え、どう支援に活かすかだ。そこで"マルトリートメント(不適切な支援)"≒虐待のグレーゾーンの研修を重ねた。そこから「点検シート」を見直し、マンネリからの脱出、身近に感じられるものにした。結果が出る頃に法改正となり今年4月に「虐待防止委員会」の設置・運営が義務化された。藤沢育成会はこれまでの取組みを土台に具体化する。

一方で、監事監査の指導を受け"リスクマネジメント"を検討した。事業特性による違いを視野に入れ法人全体で統一性のある"ヒヤリハット報告"を徹底し、データを積み重ねた。当初、項目の分類が不十分だったが次第に統一化できた。ここまで数年かかったが、結果的に多くの職員の意識下にヒヤリハットの意味が根付いたことが最大の成果。3月末には法人統一のリスクマネジメントのルールが出来上がる。

これらから「職員行動指針」の見直しが提案された。策定から時間が過ぎているから再検討の必要性は誰もが認識しており当然のように検討し始めた。重視すべきは"日常使い"が出来る行動指針。"日常使い"とは、誰もが認識し、理解し、口にし、具現化出来ること。支援は利用者との相関関係だが、これまでの指針は職員だけ考える傾向が強く、利用者の視点があるようでなかった。そこで"誰もが判る、職員自身の言葉で作る"を重視した。だから多くの職員が参画する場を設け検討した。これも2年かかったが3月には完成する。

これらは、あと3か月ある今年度目標の「日常を見直そう!」の中で取り組んだ。私たちは"日常"を仕事としている。それは間違いなく利用者の日常。そして、ご家族の日常にも大きく関係する。だから今の"日常"を当たり前にせず、それを見直し支援、予算や収支、そして制度へのチャレンジも日常と考えている。日常を科学することが障害福祉サービスの質的向上を図る手立てだ。それは、虐待防止ではなくより良い支援に取り組むことが結果的に虐待防止、リスクをなくすのではなくリスクを理解し予見して減少させることがリスクマネジメント、故に"リスクと共存する日常"を求めていた。

ひとつのことが、いくつもの課題、未来につながる目標に連動する。その課題だけで問題解決としたら躍動しない。些細な積み重ねが"日常"なら、些細なことが苦しいのも"日常"。だから見落として当然ではなく、連動して憂い、想いを巡らせて考えるとわずかなことも良く見える。それを理論と結びつけ、新たな障害福祉サービスを生み出したい。社会福祉は、理論と実践を分断し続けてきたと考え、"理論値"を学び、それを"臨床値"に置き換えられる障害福祉サービスとなった初夢が正夢になることを夢見た。(2022.1.1)