日記

"頭が先か?身体が先か?"それが問題だ!

 昔、昔、その昔、県職員になった、"福祉職"。辞令交付式は部局ごとだった。その場で赴任先を知らされるので業務内容は知らなかった。会場は若い女性たちが多い。多くの人たちが知り合いらしくおしゃべりに花が咲いていた。指定された席は最前列の中央。どぎまぎしながら座ると式典が始まった。順に呼ばれ辞令を受け取った。昼食後、指定の場に行くと先ほどの女性たちがバスに乗っていた。短大を卒業したばかりの保育士。バスの中に男は1人?躊躇していると中年の男性が「早く乗れ、出発するぞ」と促す。運転手とその人(副園長)だけが男性で24人乗りのバスに15名程。気後れして乗ったバスは卒業した中学校前を通り過ぎた。驚くことに赴任地は、自宅の徒歩圏で交通機関利用なし。

 翌日から赴任地での新採用研修。なんと1人。彼女たちは既に研修を済ませ、1人前の勤務。初日から夜勤の人もいた。研修内容は行政関係が多く良く判らないが、1人ゆえ逃げようもない。ひととおり終わると次は県の新採用研修。行政職と一緒。真新しい身分証明書に"事務吏員"。事務吏員なんだと初めて自覚した。故に研修は行政関係、内容は法律用語が飛び交い苦痛だった。それでも何とか終り児童指導員業務に就いた頃、指導員会議の招集。大勢の職員がいる職場なのに児童指導員は男性だけ。これは職域の相違。採用試験で保母(現:保育士)採用と福祉職採用に別れていた。研修も、会議もそれに従っていた。採用時に寮長の役割を担ったのもこれが理由とようやく理解する始末。これは過去の話で、今は採用制度が変わり、全員福祉職採用となり、経験を経て役割が変わる。

 初めての指導員会議は理解不能な議論だった。それが"頭が先か?身体が先か??"児童福祉施設だが、思春期を過ぎ成人年齢が多いため極力「同性介護(当時はこの言葉がなかった)」にしていたが、男性利用者60人に男性職員は係長を含めて7人。ゆえに入浴はとても大変。40人の男子寮担当で13時からの日中活動に入浴が組み込まれていた。だが、19時までの遅番勤務でも、当然のように勤務終了後に入浴担当があった。一般棟(比較的軽度)だがほとんどがIQ測定不能、発語のある人はわずか。身体を洗える人はほとんどいなかった。

会議のテーマは身体を洗う順番。どうでもいい・・・と思っていた。なぜこれに時間を割いているかが不思議だった。終了時、係長から「どう思った?」と訊かれ、どうでもいいとは答えられず困っていたら「職員同士でやり方が違うと子どもが混乱するんです。意思統一が大切です」と。分かったような、分からないような印象だったが、入浴介助を繰り返していると重要性が見えてきた。それは食事、日中活動、就寝時でも同様に徹底されていた。それでも、乱れる現実をその後繰り返し見た。こんな基礎も知らない人間を児童指導員として育てていただいたのがA先生。どこまでも"先生"だった。プロテスタント信者の先生は、早期退職し児童養護施設園長に。さらに大学教授となったが見守り続けていただき、社会福祉学会に誘っていただいた。また、所属大学以外の非常勤講師の依頼をいただくなどで幅を広げるチャンスを下さり、しっかりと育てていただいた。どこまでも誠実で、真摯で、継続し続ける姿勢、取り組みは、その後の仕事の根幹となった。めぐり逢い、チャンスをいただき、育てて下さったことに感謝。