日記

「時代を映す?」...「時代を創る...」

本土復帰50年の節目に朝ドラは沖縄がテーマ。その年、高校を卒業し上京した主人公が料理人として成長する中で、家族、恋愛、仕事...。同時代の育ちゆえ思い出がよみがえる。時代の変遷を表すが、基地問題は...と。根底に自ら戦争を始め敗戦国となった歴史が横たわる。世界が"今のロシアは80年前の日本..."とする姿はドラマでは見えない。「テッパチ!」は、何やらキナ臭い空気が漂う世界情勢の中、自衛官が主人公。それは戦闘用ヘルメットを指す自衛隊内の言葉。挫折や家庭事情を抱え入隊した主人公が1人前になるまでの話。戦闘訓練も人命救助もこれほどの鍛錬が必要なのかと思わせ、若者に刺さるものがあるだろう...と。これは自衛官の応募数に影響するか...。それは夜ドラ「あなたのブツが、ここに」の宅配員も同じ。障害福祉サービスのドラマはなぜ出来ないか...と思う。

「家庭教師のトラコ」は、主人公の男女が児童養護施設出身。里親に引き取られた男と施設に残された女の格差が今を描く。家庭内の問題に踏み込むトラコは、お金の使い方をテーマに社会勉強に導く。次第に社会的に成長する子どもが親も成長させる。"学び"は知識の詰め込みではなく社会を見る"眼"が大切と知り、学びのモチベーションをあげ成長。サンプルは、頭取の後妻となった銀座ママの親子、シングルママの食堂経営者、リストラにあった新聞記者。母親像から社会を見る仕掛けが絡み合う。テッパチは安全保障が背景、トラコは社会の基礎的集団=家族が背景。ところが「僕の姉ちゃん」は、海外赴任中の両親不在家族というありそうな設定で日常を映す。けだるいような空気、それなりの人間関係。現代家族の人の距離を表し、家事万端それぞれに進む風景が当たり前の今を映す

「六本木クラス」は国家も家族も色合いが薄い。父親を殺された主人公の長い復讐劇。原作は韓国のマンガだが、グローバル社会を反映してか六本木と言われても違和感がない。経済至上主義の社会で、勝ったものが強く、財力のあるものが何でも獲得し、犯罪まで隠蔽できる...社会を映し出す。一方「ユニコーンに乗って」は、ITを駆使したスタートアップ企業が賞金や融資、業務提携を経て成功する。大企業経営者の息子がその起業精神で大企業を改革する。膠着したものは瓦解する時代を映すと読んだ。どこぞの国では"忖度"などと言う使いなれない言葉が横行したが、正しさを自らが見極め自分らしく生きる難しさを表す。時代が変化する時、ふさわしく人々の生き方も変化する。高度経済至上主義がもたらした金権主義社会で良いかと問いかけているようだ。

かつて手話ドラマ「星の金貨」や「愛していると言ってくれ」が人気の頃は、手話が流行したが、今は話題にもならない。「NICE FLIGHT!」のように空港の多様な仕事が見えるとドラマは職業紹介のようだが、それによって世間の"目"が変わる。これにテレビの社会的信用度が加わり社会的イメージがどんどん変わる。国家資格となった頃、介護福祉士希望者が急増。情報が好印象をあたえた。だが、ニュースにもならない今日、希望者は激減しダーティーイメージだけが残った。この先、時代を映したドラマが、世間をどう変えるか...?肯定的イメージがなかったものがドラマ化されると社会的認知が激変する。そうかドラマは時代を映す...ではなく、ドラマは時代を創るのか...