日記

「積読(つんどく)の効用」

 いつかは読むだろうと思って買った本が書棚に入りきらずに「積読」状態になっています。これを何とかしようと時間に余裕がある時に少しずつ本の整理を進めていまが、これがなかなかに難しい。捨てる方の段ボールに入れた本を、惜しくなって読み返しているうちにまた読むかも知れないと思って段ボールから戻してしまいます。

 そんなことを繰り返すうちに最初に読んだ時よりさらに感心する本と最初の感動は色褪せて途中でページを閉じてしまう本の2種類があることに気がつきました。その理由がどこにあるのかは判然としません。途中で閉じてしまう本は若い時に感動した本に多い気がします。

 再読して最後まで読み通した本には吉川幸次郎と言う中国文学者の「古典について(講談社学術文庫)」がありました。 

 特に中国文学に興味があるわけではありません。また、吉川幸次郎の文章は突き放すようなところがあって、とても理解できたとは言えないのですが、分からないなりに読むものを引き付ける魅力があります。それは江戸時代の儒者である伊藤仁斎や荻生徂徠がその時代の厳粛主義に反対して「寛容主義」を説いていたという部分などですが、きっと自分の意識の底にあるものと通じている何かがあるのでしょう。今読み返しても古びない不変なものを感じます。

 そう言えば、積読状態のもう一つの本にヴォルテールの「寛容論」と言う本もありました。

以上

(2025.5.1 理事長 倉重達也)