日記

「猛暑日の葛藤」(湘南セシリア 課長 鈴木保志)

湘南セシリア

 7月の初旬、リビングのエアコンが作動しなくなった。かなり前から前兆はあり、よくわからないランプの点滅や、異音も日増しに激しくなっていたが冷気は出ていたため放っていた。それが突如、異音とともに可動式の前面パネルがでたらめに動き始め終焉を迎えた。「10年以上よくがんばった!」という思いにふける間もなく、とんでもない暑さにすぐに電気量販店に向かった。

 幸い1週間後の週末に設置予定となったため、その間をやり過ごせばと安堵した。そして待望の設置当日、業者のお兄さんを案内し汗だくでリビングに待機をしていると、エアコンは10数畳用で問題はないもののコンセントの挿し口が200Ⅴ(ボルト)にもかかわらず、このエアコンは100Ⅴ専用と告げられる。この状況に対応する選択肢としては、200Ⅴ用のエアコンに買い替えるか、コンセントを100Ⅴに変更するかの2択とのこと。どちらも嫌だが、エアコンの再購入となるといつの設置になるかわからない、また、コンセントの挿し口を100Ⅴに落とすのであれば、電気技師をこれから呼ぶことが出来るという。あまりの暑さ故に100Ⅴに落とすしか選択肢はなかったが、ボルト数を落とすことが家自体のレベルを落とすような感があり、何とも気持ちが悪い。体中ににじむ汗を感じながら、ネットで200Ⅴから100Ⅴに下げることについて調べていると、そもそも200Ⅴのコンセント挿し口になっているということは、容量の大きいエアコンが適切な部屋であるという認識で、容量の小さいエアコンであれば風量など馬力を上げて使用する必要があり、エアコンの消耗と共に電気代も高くなりやすいとのこと。「百害あって一利なし。」という書き込みも見られ不愉快極まりない。作業をするお兄さんを横目に、2階で涼やかにエアコンの恩恵を授かる妻に「百害あって一利なし。」の理屈を説明する。設置中のエアコンが壊れたタイミングで200Ⅴのコンセントに戻すことを宣言し、自身の気持ちを落ち着かせる。「早く壊れないかなー・・」などつぶやいていると、妻はケラケラと笑っている。笑っていられるくらい大した話ではないのだと自分に言い聞かせ、再びリビングへ戻る。

 間もなく、親方のような男性が現れ、お兄さんに「覚えようか。」と200Ⅴから100Ⅴに変更方法の説明が始まると、将来自分で200Ⅴに変更できるよう食い入るように一緒に説明を受ける。

作業後、200Ⅴと記載されたコンセントの挿し口が床に転がっていたため、そっと拾い上げ今の気持ちを忘れないよう目につく場所に置く。

 作動し間もなく、さほど広くはないリビングとⅤ数で翻弄された私の頭は冷気で満たされ、少々右肩下がりに設置されたエアコンにも、笑って済ませられる自分にホッと胸をなでおろす。

この記事を書いた人

鈴木 保志

自宅にグランドピアノを設置している法人内随一のピアニスト♪仕事の疲れやストレスを旋律に乗せて‥‥♪…と言いたいところですが、もっぱらお酒に走ってしまう、反省の日々です。